オンライン大学生生活を始めた
2022年の10月からオンラインで大学の授業を受け始めた。2023年2月に成績発表があって無事単位が取れたのでその振り返りなど。
背景
2022年にジョージア工科大学のオンライン修士プログラム (以下、OMSCS) に出願してリジェクトされた。以前の記事にも書いたが、CS関連の大学の単位をほとんど持っていなかったことが、リジェクトされた主な原因だと考えていた。そこで、再チャレンジに向けて働きながら大学で単位を取る方法を考え始めた。
日本はアメリカなどと異なりコミュニティカレッジがないが、科目履修生という、好きな授業を一つから取ることができる制度があるのでこれを使おうと考えた。通学が楽でCS系の授業を開講していそうな湘南工科大学と慶應SFCなどが候補に挙がった。しかし、働きながらでも通える土日や平日の夜には目ぼしい授業がなかったので、それらの大学は諦めることにした。働きながら単位を取るということを考えるとOMSCSのように全てオンラインで完結する方が良いのではないかと考え始めるようになった。
放送大学
最終的に、オンラインで受講できて単位認定試験なども全てオンラインで受けることができる、放送大学に科目履修生として入学することにした。
放送大学というと、「NHKでやっているあれか」くらいの認識しかなく、本当に正規の大学かどうかも当初はよくわかっていなかった。しかし、少し調べてみると今の自分にぴったりな大学ではないかと思うようになった。
放送大学には教養学部しかないが、2023年3月現在で6つのコースがある。情報コースにはCS関連の授業もいくつかあったので、まずは科目履修生として入学して、いくつか授業を取ってみることにした。入学はとても簡単だった。入学試験などはなく、オンラインで手続きを済ませ、授業料を払ったら入学が認められた。授業料も1単位あたり5,500円とかなり良心的な価格だったのでお試しするにはちょうど良かった。
二度目の大学生生活
2022年の10月から授業が始まった。9月に転職して新しい仕事を始めたということもあり、あまり詰め込め過ぎないように6つの授業、それもあまり負荷が高くなさそうなものを選んだ。
- 初歩からの数学
- 情報学へのとびら
- 情報ネットワーク
- Webの仕組みと応用
- データ構造とプログラミング
- アルゴリズムとプログラミング
郵送された教科書とアップロードされた映像、または音声で学習を進めた。試験直前に詰め込むことも可能だったが、一回目の学部生活の反省を活かし、コツコツと毎週学習することにした。土日のどちら一日使えば余裕を持って進めることができたので特にストレスは大きくなかった。
各授業の振り返り
初歩からの数学
数の概念から初歩の微積分まで。本当に初歩からだったけど、数学の問題を解くのは頭の体操になった。しかし、休日に遊びに行かず簡単な数学を問題を解いていると、なぜこんなことしているのだろうかという気分になった。
情報学へのとびら
オムニバス形式でやたら範囲が広いがどれもおもしろかった。特に「コンピュータのしくみ」の授業で、先生がPCを分解してパーツや構成の説明する回が良かった。
情報ネットワーク
TCP/IPを中心に各プロトコルを深掘りしていく。ネットワーク周りへの苦手意識を少しだけ克服できたかもしれない。最終レポートはTCPの細かい仕様を調べてレポートを提出して100点を貰えた。今期受講した授業で一番充実していた。
Webの仕組みと応用
これも既知の内容がほとんどだったが、セマンテティックWebの回はおもしろかった。
データ構造とプログラミング
初歩のプログラミングに関する知識からデータ構造の知識まで。「アルゴリズムとプログラミング」と一部重複していた。
アルゴリズムとプログラミング
前に、Algorithms Specializationを完走していたこともあって特に新しい発見はなかった。ただし、教科書のCの実装を全部追って各章末の課題を全て実装するとかなり大変だと思った。
単位認定について
放送大学にはいくつかの授業の形態があるが、放送授業と呼ばれるものは、中間と期末テストを受けて合格点以上を取ると単位が貰える。また、オンライン授業と呼ばれる形態のものは毎週課される小テストと、中間•期末レポートを提出して合格点を取ると単位が貰える。
今回は既知の内容が多かったこともあり、全ての授業でⒶ(90~100点)を取ることができた。もう少し難しい授業を取るか、授業数を増やしても良かったなと思った。
今後について
OMSCSに再チャレンジするために大学で単位を取る、ということが本来の目的であったが、再チャレンジは一旦先送りにして、もう少し放送大学で学習を続けてみようと考えている。それは、当初OMSCSを受けるときに考えていた、CSを体系的に勉強する、学位を取得するということが放送大学を使っても概ね実現可能だからである。情報コースの授業はいわゆるCSの授業とは少しずれる部分があるが、それでも関連する授業やCSの基礎となる数学の授業も取ることができる。また、学位授与機構の制度を使うと、放送大学などで集めた単位を使って工学(情報工学)の学位(Bachelor of Engineering)を取得することが可能であることがわかったからである。
また、大学院出願の準備には結構エネルギーと時間を使うので、もう少し学習や準備をしてからでも遅くはないのではと思うようになった。
あとがき
面接授業という、全国各地の学習センターに実際に行って受ける形態もあり、ワインの授業があったので来学期はこれも受けてみたい。